巻頭言
2025年新春に寄せて
岩手県立一戸病院 院長 佐々木 由佳
2025年になりました。
皆さま、あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。
この年末年始は長いお休みの方もいらしたと思います。ゆっくりされたでしょうか?当院はインフル、コロナもそれほどでなく済みました、今のところはですが。昨年の本誌では当院の内科医不足についてざっくばらんに書いたと思います。
「2024年に内科医を招聘できているのか医療局に委ねられているところです。」と書きましたが、何とかして戴きました。詳しくはあれですが、二戸病院から常勤医として1名の内科医を派遣していただいております。これで何とか内科病棟に患者さんを受け入れられるし一戸二戸の連携も一入です。このフォルムが続く限り在宅医療も安心して展開できます。いざという時に自院に入院できる病棟があることは何よりの強みです。在宅医療と言えば、従来から訪問看護、訪問診療は行われ徐々に訪問件数が増え、特に訪問看護は年間のべ訪問件数12000件までに成長しておりました。誠、諸先輩の先見の明に感謝です。こんなに伸びたのは地域住民のニードもあったと思うのですが当院で働くシニア看護師や子育てや介護中の看護師ニードにもマッチしたのだと思います。訪問を担当する看護師は常時14名に上ります。他の地域では4、5名で訪問看護ステーションを回していると聞きますので当院の訪問看護は裕福です。そういう訳で令和7年4月には訪問看護の指定を受け、みなし訪問看護から訪問看護ステーションに進化する予定です。より充実した訪問看護を目指します。訪問看護は看護師以外の職種も参加しており、栄養士やソーシャルワーカーなど、件数は少ないですが患者さんの状況に応じ出向いています。
意気込みと申しますか、もう一つお知らせがあります。当院はご存じの通り県北部精神医療の拠点病院です。ですが恥ずかしながらこれまで精神医療に関して大規模災害時の備えが成されていませんでした。県北部の広いエリアで大災害が起こったら、あるいは県境や国単位でニードがあった時に、ということで当院なりの精神医療を提供できるよう準備を始めました。令和7年4月にはDPAT一隊を岩手県に申請します。また必要メンバーを揃えて定期的な演習や訓練を行い要請時には応えられるようにしたいと思います。高齢かつ少数かつ一応気鋭の精神科医師団の頑張り時ですが、その後を受け継ぐ若き精神科医も募って行かねばなりません。あちらこちらでこう言っていると思います。「県の奨学金制度利用医師がそろそろ当院にも回ってくるだろう」と。私は「そろそろですかね」と毎年言っている気がします。
さて、自分事の話で恐縮なのですが、私の酒好きは知っている方もいると思います。ところが半年前から飲酒は何もない限り休みの週末だけになりました。週末は盛岡の自宅で過ごすのですが、その時だけになった理由はわかりません。年齢とともにでいいことにします。
暖かな部屋の窓ガラスから向こうの林の木々やリンゴ畑の並々とした丘を眺めながら飲むお酒は至福のひと時です。特に冬の西日に雪面が輝く午後の1時間は美しくあっという間に終わります。その短い時間を逃さぬようグラスに並々注いだお酒と千切り沢庵をあてがって大窓に椅子を寄せます。冬に部屋の電気をつける頃まで静かに飲むお酒は私の何よりの楽しみです。