「つつらご」って、知っていますか?    
                星が丘瀬川皮膚科クリニック    瀬川 郁雄

 「つづらごが、痛で-。」能代組合病院に勤務した際に患者さんからこう言われて、初めて「つづらご」という病名を知りました。「つづらご」は帯状庖疹の俗称で、「胴巻き」「けさ」「たすき」「おびくさ」などとも呼ばれます。帯状庖疹は、一度見れば誰でも判る特徴的な症状と強い痛みを伴うことから、俗称が多いものと思います。
 帯状庖疹の原因は、以前患った「みずぼうそう」のばい菌が神経に潜伏していて、再び暴れ出したものです。皮膚は赤く腫れ、その上に小さな水ぶくれの集まった出物が左右どちらかに生じ、痛みを伴います。まれに顔の麻痺、視力低下、排尿困難もみられ、重症の場合は痛みやしびれが残ります。痛みやしびれは、雨の降る前に強くなることから、天気の予報もできます。発病は中年以降に多く、若い人や赤ちゃんにも起こります。普通は一生に一度ですが、百人に一人は2回以上かかります。
 帯状庖疹の治療は抗ウイルス剤という飲み薬が主体で、痛み止めなども用います。治療開始後も悪化することがあり、経過を見ることが重要です。後に残る痛みに対しては、抗うつ剤、抗アレルギー剤、漢方薬、局所麻酔剤などが有効の場合もあります。
 症状が出てからは、3日間以内に治療を開始すると痛みが残りにくく、早めの治療が重要です。食べ物の制限はなく、適度の飲酒も構いません。暖めると痛みが軽減することから、余程病状がひどく無い限り、入浴も勧めます。