ツツガムシ病について                     湯本診療所 佐藤全紀

 「ツツガムシ病」は、ツツガムシというダニの一種の幼虫に刺咬(しこう)されることにより、リケッチアツツガムシという病原体に感染し発病する病気です。古くから東北地方、特に日本海沿岸の河川の流域で、主に夏期に発生することが知られていました。1980年ころからリケッチアを媒介するツツガムシの種類が、以前と異なるものが流行するようになり、北海道と沖縄を除く各地で発生するようになりました。
 発生時期は秋から初冬にかけてが多いのですが、前述のような理由で東北地方では春から初冬にかけても流行する時期があります。ツツガムシに刺咬されてから5-14日ほどで発症し、症状としては高熱と頭痛、全身けん怠感などで躯幹(くかん)や顔面に紅斑も出現します。
 刺し口は直径10mmほどの黒褐色の潰瘍(かいよう)を形成し、かなり特徴的ですが、そ径部、陰部、腋窩部(えきかぶ)など発見しにくい部位にあることが少なくありません。
 治療には、テトラサイクリン系抗菌薬などが有効ですが、発症後7日以上経過すると重症化する傾向があります。
 多発時期に、林や草むらへ入った後はなるべく早く入浴し、脱いだ衣服は室内に放置しないなどの対策も重要ですが、怪しい症状があった時は早期に医療機関を受診することが望まれます。