「床ずれ」   小瀬川皮膚科医院 小瀬川 玄

 寝たきりの人の皮膚の同じ場所に2時間以上も圧迫が持続的に加わると、血液から酸素や栄養素が供給されなくなり、皮膚が死んでしまって床ずれができます。
 一般に骨の出っ張った場所に出来やすく、特に仙骨部(おしりの真ん中の硬い部分)が最も多く、次いで腰骨の出っ張った部分に出来る傾向があります。寝たきりの高齢者に多く、貧血など栄養状態が悪い人、全身状態が悪い人が床ずれになりやすいです。
 床ずれを早く見つけるには、看護や介護に携わる人が、体位変換やオムツ交換などのたびに、骨の突出した部分に赤みがないかどうかをチェックする必要があります。体位変換をしても赤みが消えないのなら床ずれです。
 予防で最も大切なことは、寝たきりを防ぐことです。長時間の仰向けの姿勢を避け、就寝時間以外は立位・座位で生活することが基本です。また入浴は末梢の循環を改善するため、床ずれの予防に大きな働きをします。体位変換も2時間ごとに行うことが原則です。さらに局所の圧迫防止のために、床ずれ防止マットなどの寝具の活用も重要です。
 浅い床ずれの場合は、ヤケドの治療と同様に軟膏療法で治りますが、深い床ずれは治りにくいので、早めに皮膚科専門医にご相談ください。