心の健康と地域の力〜岩手の自殺の現況から〜
中館内科クリニック 中舘一郎
残念なことに、北東北の三県(秋田、青森、岩手)は人口10万人に対する自殺死亡率のワースト3です。平成10年以降、岩手では年間約500人の方が自殺で亡くなっており、これは交通事故死亡の約4倍にあたります。7対3で男性に多く、男性のピークは50歳から60歳代、女性では高齢者に自殺の多い傾向がみられます。
自殺の原因(全国集計)では健康問題が40%で1位。次いで経済・生活問題31.4%、家庭問題9.8%、勤務問題63%ですが、これに加えて自殺者の50%〜90%にうつ病などの精神疾患が関与していると考えられています。このような精神疾患は早期発見や予防が大切で、適切な対応や治療が功を奏する場合も少なくありません。
「うつ」に早く気づき、的確な治療を勧めることが大切ですが、そのためには家族、地域、職域の役割が大切です。岩手県でも「自殺予防プロジェクト」 を立ち上げ、「うつ」の正しい理解の浸透、相談体制の整備、地域力の向上などに積極的に取り組むことになりました。
◎相談窓口:各地域の保健所、市町村保健センター
盛岡いのちの電話 019−654−7575
岩手県精神保健センター 019−622−6955