漢方の話あれこれ            宮内婦人科心療内科クリニック 宮内茂壽

 
 みなさんは「漢方」と聞くと、何を連想しますか?@長い歴史がある中国のクスリ。A何か得体の知れない物が入っていて、飲みにくい。Bクスリの効き目がゆっくりで、長い間飲まないと治らない。C副作用はないみたいだ。などが代表的な答えではないでしょうか。@〜Cの答えはある意味では当たっていますが、同時にちょっと違っています。その理由を以下に述べましょう。
 まず、長い歴史はその通りですが、何千年もの間、絶えず改良(進歩)が加えられ今日にいたっています。先人の知恵には敬服の限りです。クスリの成分は、植物(根、葉、茎など)が圧倒的に多いのですが、鉱物(石)、貝ガラ、動物(昆虫)などもあります。日本でも、熊の胆は有名ですね。
 Bは病気によりけりで、服用直後(5〜10分)に症状のとれるものもあります。
 Cは極めて微妙な答えです。漢方薬は原則として患者さんの体質と病気の背景、そして病気そのものについて漢方学的診察を行い決定します。証とか気・血・水とか言うものです。したがって、頭痛一つとっても西洋薬では痛み止めが主になるのに対し、漢方薬では何十種類も薬剤があります。こが漢方処方の難しさであり、醍醐味でもあります。結論として正しい手順をふめば、副作用は西洋薬と比ベて少ない(ゼロではない)と言えます。