ヘリコバクター・ピロリ菌と胃癌 照井内科消化器科医院 照井虎彦
前回はヘリコバクター・ピロリ菌(以下HP菌)についての一般的なお話とHP菌が慢性胃炎や潰瘍の原因となるといった説明をしましたが、今回はHP菌と胃癌との関係をお話しします。
以前よりほとんどの胃癌は慢性胃炎、特に萎縮性胃炎と呼ばれる胃炎から発生することが分かっていました。その後、HP菌が発見され、萎縮性胃炎の原因が、HP菌であることが明らかになってからは、HP菌が間接的に胃癌の発生に関わっていると考えられてきました。最近では、HP菌が胃癌の直接の原因となっているという報告もあり、HP菌と胃癌は大きな関わりがあります。
60・70歳代の日本人は、70%程度の方がHP菌を持っているとされておりますが、残念ながらHP菌の治療はHP菌がいるだけでは受けることができません。ですからHP菌を持っている人が注意する点は、胃癌の早期発見・早期治療に限られます。
現在、胃癌の治療は非常に早い段階で見つけることができれば、胃カメラで根治が可能です。つまり、現時点では1年ごとの検診や胃カメラを行って、早期発見・早期治療に努めることが肝心となります。
次回はHP菌の治療に関してお話しします。