白い肝臓のお話         前岩手医大附属花巻温泉病院 内科 加藤博巳

 肝臓を超音波検査で診ますと、正常では黒く写りますが、白く写る方が最近増えています。原因は、肝臓に脂肪が蓄積しているからです。脂肪の量が多ければ多いほど白く写り、なかには真っ白で肝臓の中が何もみえない方もいます。
 肝臓に脂肪が蓄積する原因の多くは、栄養やアルコールの取り過きです。日常生活で使われなかった余分な栄養は、肝臓で脂肪に作り変えられて、体中の脂肪組織などにたまります。また、飲酒量が多い場合(1日に日本酒を3合以上、ピールを大ビンで3本以上、ウイスキーや焼酎の濃いめの水割り3杯以上を休まず毎日)には、アルコール性肝障害の一つの病気として肝臓に脂肪がたまります。
 肝臓があまり白くなく、血液検査でも異常のない方は、体重を増やさないようにするだけで心配いりません。肝臓がかなり白い方は、血液検査で中性脂肪値や血糖値などが高い場合があり、動脈硬化症や糖尿病などの成人病を引き起こす可能性があります。
 対策としては、食事量を少し減らして、散歩などの軽い運動を少し長めに行うことが必要です。アルコールの多い方は、このままですとアルコール性肝障害が進み、アルコール性肝硬変になる可能性があります。飲酒量を減らすことと、飲まない日を週に1回は作ることが必要です。