ヘリコバクター・ピロリ菌の治療 照井内科消化器科医院 照井虎彦
ヘリコバクター・ピロリ菌(以下HP菌)の治療は、非常に簡単で薬を飲むだけです。HP菌は細菌ですので特定の抗生物質が効きます(除菌療法と呼びます)。1種類の胃薬と2種類の抗生剤を1週間内服して退治します(10%程度の割合で除菌が不成功に終わることもあります)。
除菌療法中の副作用としては、主なものに軟便・下痢、味覚障害、発疹、発熱などがあります。時に便と共に出血することがあり、重い症状が出た場合は中止となることもあります。除菌療法を受けた後は主治医の指示に従って、必ず除菌療法が成功したか失敗したかの判定をします。現在では、一回目の除菌が不成功になっても二回目までは受けることが可能です。
ほかの注意点としては、除菌療法成功後の逆流性食道炎です。HP菌は胃酸を中和して生息していますので、HP菌がいなくなることにより、胃酸が強くなりすぎることがあります。そのため、胃酸が食道に逆流を起こしてびらんや潰瘍をつくることがあります。
また、除菌が成功したからといって全ての潰瘍の再発や胃癌の発生を抑えるわけではありません。やはり定期的な検診や胃カメラなどの検査を受け、健康維持に努めましょう。