脳梗塞の原因になる不整脈〜心房細動〜
循環器科・内科大平医院 大平 和輝
心臓は左右上下4つの部屋に別れており、上の部屋を心房、下の部屋を心室といい、本来、心房と心室は1対1に連動して収縮します。しかし、心房がけいれんしてしまう心房細動という不整脈では、心室は全く不規則に収縮します。
発作性に生じる場合、動悸、胸部不快などを自覚することが多いのですが、慢性の場合、ほとんど症状はありません。けいれんしている心房の中では血液がよどんで固まりやすくなり、その血の固まりが流れて脳血管を詰まらせると、脳梗塞になります。
心房細動は脳梗塞の原因の20〜30%といわれ、あの長嶋茂雄巨人軍終身名誉監督や故小渕恵三前首相の脳梗塞もこのタイプでした。心房細動による脳梗塞は重症になることが多く、たとえ動悸などの症状がなくても、不整脈を抑える薬や血液を固まりにくくする薬を飲む必要があります。
心房細動は、治療が必要な不整脈の中で最も多く、年を取るとともにその頻度が増し、特別な心臓病のない人にも起こりますので、検診で見つかったり、動悸がしたときに脈が不規則だったときは、すぐに、かかりつけ医や専門医に相談してください。