宇宙でも必要な薬      総合花巻病院 整形外科   佐藤 正俊

 骨は骨吸収と骨形成を絶えず繰り返すことにより、再造形(リモデリング)されています。このバランスが崩れ、身体の骨量が減少した状態が骨粗鬆症(こつそしょうしょう)です。
 最近の治療としては、ビスホスホネート製剤がよく使用されています。この製剤は骨吸収を抑制して、骨密度を増加させる効果があるようです。
 スペースシャトルで宇宙に旅立った宇宙飛行士の若田光一さんも、骨量減少予防の臨床実験のため、ビスホスホネート製剤を飲む予定だそうです。これは、地上では重力の影響で骨形成に必要な刺激が骨に与えられているのですが、宇宙空間では十分な重力がないため、骨への刺激が与えられず、骨量減少を引き起こす事が問題になっているからです。
 この臨床実験の結果も興味のあるところですが、もし地球上でも骨量が減少しているなら、適度な運動と共にビスホスホネート製剤を服用して自分の骨を丈夫にしましょう。