「C型肝炎ウイルス陽性」その時は・・・     熊谷内科胃腸科医院 熊谷和久

 平成14年度から、健康診断に「C型肝炎ウイルス(HCV)」の検診が追加されることになりました。以前より、胃カメラ受診時やドックの一部ではHCV判定は行われていましたが、今回はもう一歩踏み込んで、HCVが体内に持続感染しているかどうかまで判定することになりました。
 わが国では、HCVの持続感染者(キャリア)は全人口の1〜2%いるといわれています。一方HCVは、慢性肝炎、肝硬変、肝がんにおける病院の約70%を占めています。キャリアにも、肝機能が正常な「無症候性キャリア」と肝機能障害を有する「症候性キャリア」が存在しており、現在、無症候性キャリアであっても、その後症候性キャリアに移行する場合もあります。
 また、HCVによる肝炎では、他の肝炎より肝細胞の壊死炎症反応が軽度であるため、たとえ慢性肝炎を発症していても、1年に1回程度の肝機能検査のみでは早期発見が難しかったのです。
 今年からの検診では、このHCVキャリアを早期発見する検査となりました。今まで、検診で肝機能異常を指摘されたことがなくとも、HCV陽性の判定が出た場合は上記のことを踏まえ、専門の医療機関を受診し、より詳しい検査(採血、画像診断)を受けることが大切です。