胃癌                     花巻厚生病院 消化器科 田澤秀樹

 胃癌は早期胃癌と進行胃癌に大別されます。これは癌の大きさには関係なく、癌細胞が胃壁にどれだけ浸潤したかによって分けられます。
 胃癌は近年減少傾向にあるものの、悪性新生物の中でも依然として死亡率の上位を占めています。早期胃癌の5年生存率が約90%、進行胃癌は30-45%といわれており、早期胃癌のうちに発見されれば治る確率が高いのです。
 胃癌には特有な症状はなく、症状から他の胃疾患との鑑別は不可能です。特に早期胃癌は無症状のことも多く、胃検診の二次検査や腹部症状を訴えてきた患者さんに胃透視(バリウムを飲んで行う検査)や胃内視鏡検査(胃カメラ)を行って偶然発見されることもよくあります。
 最近ではリンパ節転移のない2cm以下の浸潤のない(あってもごくわずかの)表面隆起型の早期胃癌は開腹手術をせずに内視鏡を用いての切除もよく行われるようになりました。
 癌細胞が深く浸潤すればするほど病変部の凹凸がはっきりしてきますが、早期胃癌は凹凸が少ないことが多く、内視鏡治療ができるようなごく初期の早期胃癌はほとんどの場合内視鏡検査で発見されています。
 腹部症状のある方の胃の検査は内視鏡検査をおすすめいたします。