非アルコール性脂肪性肝炎について 花巻温泉病院 内科 佐藤慎一郎
「脂肪肝」と診断されたことがある方は少なくないと思います。脂肪肝の方は肥満、高脂血症、糖尿病など生活習慣病を患っていることが多く、食べ過ぎや飲み過ぎを指摘されたかもしれません。
しかし、ウイルス性肝炎やアルコール性肝障害が進行して肝硬変になることがあるのに対して、脂肪肝そのものについては、進行しない病気として認識されていたように思います。
最近、脂肪肝に関連した「非アルコール性脂肪性肝炎」が注目されています。この病気の方の肝臓を組織検査すると、単に肝細胞に脂肪がついているだけでなく、炎症がおきて部分的に肝細胞が死んでいる変化が見られます。
問題なのは、一部で進行して肝硬変になる方がいることです。この病気も前述の生活習慣病をもっている方に多いのですが、まだ不明な点が多く、どのような人が単なる脂肪肝で、どのような人が非アルコール性脂肪性肝炎になるのか分かっていません。
治療法についても十分確立しているとはいえませんが、生活習慣病を合併している方はそれらの治療をしっかり行うことが重要です。飽食の時代を迎え、この病気の増加が懸念されますが、徐々にその病態も解明されていくと思います。