当たり(脳卒中)を先送りする秘けつ(パートU)  元岩手労災病院 杉山浩隆

 平成13年の「岩手の労働衛生」(岩手労働局刊)によれば、全産業における定期健康診断の有所見率(異常値や異常所見が指摘されされる割合)は、右肩上がりに増加を続けています。平成11年に50%を突破し、13年には55.3%に達しました。すなわち、働く人口の2人に1人は、「有所見者」という時代です。
 ちなみに、だんとつ第1位は高脂血症(36.1%)、第2位は肝機能障害(20.7%)で、食生活の欧米化や、運動不足にともなう肥満などが大きく関与しているものと思われます。次いで、第3位に心電図異常(17%)、第4位に高血圧症(14%)と続いています。これら「有所見」のほとんどは、自覚症状がないため病態として実感されませんが、一定の度を越えるものは「動脈硬化(血管の老化)」を最大で約30%スピードアップする「危険因子(リスクファクター:RF)」として作用します(パートT参照)。例えば、10年間放置すると2-3年の「健康寿命」の短縮という「含み損」につながることが懸念されます。したがって、45歳から始めるRF管理が理想的です。卒中予防の決まり手は、始める決意と続ける努力。「早期着手で効果最大・・・キチンとやれば10年得する」ですね。