当たり(脳卒中)を先送りする秘けつ(パートV) 杉山脳神経クリニック 杉山浩隆

高血圧症、耐糖能異常(糖尿病)、高脂血症に代表される「有所見」のほとんどは、痛くもかゆくもないのでついつい放置されているのが現実です。
 ちなみに、60歳以下の「働く人口」でさえ6〜7人に1人が高血圧症です。すなわち高齢者を含めれば、日本人の4人に1人が高血圧症であるにもかかわらず、血圧コントロール(内服治療)の実態は「50%の法則」という通念がいまだに存在し、病院へ通う人が約半数です。そのうち中断せずに正しいコントロールを継続している人が、そのさらに半数 (全体の約25%)程度と見られます。したがって実際には半数以上の方々が放置、またはそれに近い状況と推定されます。
 「有所見」=「直ちの病気」ともいえませんが、血圧では140/90mmHg以上、空腹時血糖では120mg/dl以上、高脂血症では総コレステロール値が220mg/dl以上、中性脂肪では250mg/dl以上、尿酸値では8.0mg/dl以上。身長(cm)から100を引いた数値を、体重(kg)が越えるものなどは、動脈硬化(血管の老化)を最大で30%スピードアップする「危険因子(リスクファクター:RF)」として予防的治療の対象となります。
 「卒中予防の決まり手は、始める決意と続ける努力、早期着手で効果最大:きちんとやれば10年得する」ですね。