肺炎予防のために肺炎球菌ワクチン 熊谷内科胃腸科医院 熊谷和久
肺炎球菌ワクチンをご存知でしょうか。肺炎球菌は気管支炎・肺炎などの呼吸器疾患や髄膜炎を起こす細菌です。このワクチンを接種することで肺炎に罹患する可能性を低下させたり万が一、肺炎を患っても軽い症状で済む効果が期待できます。
日本のおもな死亡原因の年次推移を見ると、肺炎による死亡者数は「悪性疾患」「心疾患」「脳血管疾患」のいわゆる三大死因につぐ第4位となっています。日常における肺炎の原因として肺炎球菌が3割強を占めており、最近は抗生剤の効きにくい肺炎球菌が増えています。その分離割合は30〜50%といわれ、いかに肺炎球菌による感染を予防するかが問題となります。ある海外のデータでは、インフルエンザワクチンと肺炎球菌ワクチンを併用接種したことで、慢性肺疾患を有する高齢者の入院リスクを63%、死亡リスクを81%低下させることが出来たとの報告もあります。
肺炎球菌ワクチンは、季節に関係なく接種可能です。65歳以上の高齢者、慢性の呼吸器・心・腎・肝臓疾患をお持ちの方、糖尿病の方は積極的に肺炎球菌のワクチン接種をお勧めします。接種は自費となります。くわしくはかかりつけ医にご相談ください。