もっと分かってもらいたい「痔」の話 元岩手労災病院 外科部長 佐々木盛光

 三人に一人は「持主(じぬし)」ともいわれるほど、痔に悩んでいる人はたくさんいます。「痔」は肛門周辺の病気の総称で、@痔核(いぼ痔)、A裂肛(きれ痔)、B痔ろう(あな痔)の三つに大別され、それぞれの原因や症状、治療法も異なっています。
 この中で最も多いのが痔核で、痔全体の約半数以上を占めます。次いで裂肛、痔ろうの順ですが、合併している人もいます。持主が注意すべきことは便に血が混じった場合、大腸がんの可能性も考えられるので、痔の出血と勝手に思わずに主治医(かかりつけ医)や大腸肛門専門医に相談しましょう。
 「痔はイヤだが手術はもっとイヤ」-。痔で病院に行くとすぐ手術をされるのではないかと思いがちですが、多くの場合は手術の必要はなく、生活習慣の改善だけでよくなります。痔ろうだけは”がん”になる可能性があるので手術を考えますが、その他の痔はセルフケアだけで良くなることがほとんどです。手術が必要な方は全体の二割程度にすぎません。
 しかし、手術やクスリで良くなっても以前ど同じ不摂生をしていれば、再発しやすくなります。痔は生活習慣病と考え、自(痔)覚することが大切です。切らずに乗り切るためにはセルフケア、自己管理で「痔エンド」です。